Let it Be

ビートルズの12枚目の英国オリジナルアルバム、そしてラストアルバムとなった「レット・イット・ビー」。

1970年5月8日に発売されているこのアルバムだが、録音は前アルバム「アビイ・ロード」より前に行われている。1969年1月2日にトゥイッケナム・フィルム・スタジオに姿を現し、リハーサルと撮影、録音を開始する。「ゲット・バック(原点に帰る)・セッション」の始まりである。映像撮影、そして「オーバーダブをやらない」というコンセプトのアルバム制作は続行されるものの1969年1月30日のアップルビル屋上での「ルーフ・トップ」コンサート、そして翌日のスタジオセッションをもってセッションを中断。総時間、90時間以上の撮影・録音テープを残したまま、ビートルズはアップルスタジオを去った。

この後7月からはアルバム「アビイ・ロード」のセッションが本格化。そして9月26日にアルバム「アビイ・ロード」が発売。アルバム「ゲット・バック」の事は誰もが忘れかけていたが、1月の撮影フィルムを映画にする事だけは決まっていた。年が明けて1970年1月4日。正式な録音がされていなかった「アイ・ミー・マイン」のセッションがビートルズとしての最後の録音セッションとなった。

その後、ゲット・バック・セッションの膨大なテープは流出し大量の海賊盤を生み出す事となった。2003年にはリミックスアルバム「レット・イット・ビー...ネイキッド 」が発売された。これは「当初出すつもりだったオーバーダブなどを含まないアルバム」としてのコンセプトに乗っ取り、 ― 実際に異なるテイクを繋ぎ合わせたりの処理が行われているし、アルバム「レット・イット・ビー」に使用されたテイクとは明らかに違う曲もあるが ― 現在のアビイ・ロード・スタジオのエンジニアが、当時のマスターテープから改めてリミックスしたものである。